破綻したホロスコープとは、松村潔先生が20年くらい前に鑑定をする際によく使っていた言葉で、ここでは先生の過去の鑑定などをもとに、自分なりに考察したことを備忘録として書いていきたいと思います。
破綻したホロスコープとは
松村先生が読者の悩み相談に答える形で、破綻したホロスコープについて説明を述べています。
ホロスコープが破綻という言い方をするのは、わたしの癖かもしれません。「規格外である」「揺れている」「変動している」「おとなしくおさまらない」などという特徴でしょうか。破綻と、破綻でないものを分ける基準はどこにあるか?という点では、あまりはっきりしていないというか、私が勝手に読んでいることになります。
千駄ヶ谷占星術研究所-星は答えを知っている-2006年6月15日号より
ここでは先生が指摘した特徴を惑星やアスペクトに当てはめた場合、どんなものがあるのか考察していきたいと思います。
「規格外である」
- 太陽や月、ASC やMCに海王星、天王星、冥王星のハードアスペクト、アウトオブバウンズ
今現在は「規格外」というとアウトオブバウンズ(以下OOB)を指すのかと思うのですが、OOBは赤緯占星術で茜鳥先生の専門になりますので、西洋占星術で考えると、太陽や月などにトランスサタニアン(海王星、天王星、冥王星)がハードアスペクトで関わることを指しているのではと考えます。
ハードアスペクトも厳密に言うと90度が関わる場合です。松村先生の場合180度は「凶意ではなくターゲット化して鏡関係として働きかける」と語っているので、何か外に向かって打ち出したいときに180度はかなり使いやすく有効なアスペクトだといえます。それに比べると90度はスイッチのON/OFFであり、突然の方向転換とか、ふいに入ってくる横やりといった例えで表現する場合が多く、予測がしづらく扱いが難しいと感じるアスペクトかもしれません。
ちなみにOOBは、惑星の赤緯が23.26度からはみ出た場合、月だったら感受性が、金星だったら美意識が、火星だったら積極的に打ち出す行動が、木星だったら増幅が、天王星だったら縛られなさ、水星だったら並々ならぬ知性がといった具合に、本来の力よりもさらに規格外の力が備わるというものです。OOBは夏至冬至付近で起こりやすく、冥王星だけは軌道がずれているので獅子座と水瓶座で起こりやすいといわれています。丁度今2024年、冥王星が山羊座から水瓶座に移行するタイミングで生まれた世代は、ほぼみんな冥王星がOOBしています。
「揺れている」
- 揺れている、というのが不安定や優柔不断という意味でとるなら、思いつくのは月が魚座(もしくは水星座)にあるときや海王星のアスペクト。
魚座や海王星がからむアスペクトがあると、月に限らず揺れやすいのではないかと個人的には思っています。あとASCに海王星が乗っていたりすると、自我はあっても他人の意識のみならず、人間以外のありとあらゆる意識も本人の中に流れ込んできますので、小さい頃から色んな感情に振り回されてしまい、人間関係を構築するのが大変だったのではないかと推察します。
火星と海王星の90度はサイキック能力といわれていますが、私はいつもスティーヴン・キングのキャリーを思い出します。
「変動している」
- 「変わりやすい」という意味でとるなら、天王星が個人天体に関わるアスペクト。
180度なら「予定通りの予定変更」、90度なら「想定外の予定変更」、月と天王星の合なら「月の感情が極まればある日突然変更」。日経が暴落した2024年8月5日は牡牛座27度にある天王星に対して金星と水星が90度、そこへさらに月まで加わって90度を形成していました。「ずっとこのままでいたい」という気持ちを断ち切られたという意味では、大きな変動といえます。
「おとなしくおさまらない」
- 浸水していくなら海王星、超越するなら天王星、外界(太陽系以外)と接触するなら冥王星。
どれもおとなしくはおさまりませんね。
太陽と冥王星の90度や月と冥王星の90度などは、個人として受け取れる範囲を超えたものを冥王星がもたらすので、そのまま押しつぶされるか大成功するかのどちらかです。生まれた時から冥王星が90度で関与している場合、かなり過酷な状況でもわりとすんなり受け入れてしまうかもしれません。限界を超えた精神力を要求されるのが当たり前なので、慣れないうちは毎度燃え尽きて無気力状態になりますが、深淵を覗いたところでふみとどまると上手く使いこなせるようになります。
少し違いますが、私の太陽は魚座の28度にあり、この度数の意味が冥王星と非常によく似ています。極限状態で後が無いとき、何もかも失った失意のどん底で、強く願ったときにだけ扉が開かれ再生できるという度数です。
冥王星の軌道修正は荒いですが必ず意味があり、誰にとっても心強い味方なので恐れる必要は無いと教えてくれています。
ハードアスペクトとひとくくりに言っても具体的には
「太陽には冥王星と90度のアスペクトしかない」や「月と冥王星の90度しかアスペクトがない」ですと普通の生活での物足りなさ、異常事態に対しての耐性から、多少のことでは動じない精神力がありカリスマとみられます。「月には天王星と冥王星の90度のアスペクトしかない」や「太陽と土星の合に天王星の180」だと堅すぎと柔らかすぎのぎくしゃく、「太陽と月のギャップ」も、例えば太陽と土星でお堅い人なのに、月と木星の90度でなまけもの、月と海王星の90度なら曖昧で夢見がちな人柄という点で性格にギャップが生じます。「金星に90度のアスペクトしかない」とまとまりがつかない、などなど。。。これらが複合して出生図に表れるとかなり破綻的とみなすようです。
ちなみに、歴史的な改革者には、目を覆いたくなるほど90度や180度のハードアスペクトが多く、また、月と金星に関してはアスペクトたくさんあった方が、面白い退屈しない人間になるということを付け加えておきます。
自分の破綻を緩和する方法
一つは破綻する状況を扱うといいということです。
例えばASCに海王星が乗っている人が上手く現実世界になじめないとき、都市伝説や占いなどを知って「こういう世界があってもいいのか」と気づいたり、推しがみつかったりすると、二つの世界を行き来できるようにります。
表向きは事務職で、プライベートではコスプレイヤーとかYouTuberなどは上手い使い方だと思います。
要は現実世界と非現実世界の両方に携わることで、精神のバランスが安定するということです。
その際、現実世界で関わる人と非現実世界で関わる人は全て別の人である方が、コソコソ感が出ていいです。
太陽と月のギャップに苦しむとき(太陽はきっちりだけど月はなまけものなど)は、「几帳面で部屋も綺麗に掃除する自分」でいたいなら、「部屋を散らかして片付けないで平気な人」をパートナーにしやすいということですし、その方が問題はあっても安定はするということです。
まわりが異常な状態だと安定するので、芸能界や異色な職業に携わる人も多いです。
また、月とのアスペクトの場合は0歳から7歳までにすり込まれた資質なので、大人になっても無意識に出やすく、書き換えるのが難しくなります。
書き換えが出来るのは幼児期の教育か、長く繰り返す行為で記憶を定着させていくかで回避できるとされています。月と90度のアスペクトがあって「突然無気力になる」「長続きしないで挫折する」などは、小さくても良いので、良い記憶や成功体験をたくさん積み重ねるといいでしょう。
まとめ
「破綻」と言われるとちょっとびっくりしてしまいますが、主にトランスサタニアンのハードアスペクトのことを指しており、みんな誰しもハードアスペクトのあるホロスコープを持っていて、その破綻具合が人それぞれ違うから面白いということなんですね。まれにソフトアスペクトだけだったり、強力なグランドトラインを持っている人がいますが、逆に現状にしばられて抜け出せなかったり、変わりたくても変われないという悩みがあるのかもしれません。
そういう意味では「破綻」部分は上手く使いこなすことによって、工夫次第で人生はどうにでもなりますし楽しく生きていけるのです。